◆◇◆このページは【隊商運営協会】様が主催する「caravan」参加キャラの設定ページです◆◇◆
箱 |
テーブルの上には箱が一つ。鮮やかなオレンジ色の箱だ。 アクセサリーを入れるにはいささか大きすぎる。 少女が両手で持っても有り余る……ちょうど、赤子の頭が入るくらいの大きさだろうか。 箱の上にはピンク色の大きなリボンが、存在感たっぷりに飾られていた。 「これは何かね?」 眉ひとつ動かさず少女がたずねた。 「“プレゼント”やねぇ〜」 いつも笑っている火のジンは、やはりいつものように笑って答えた。 「開けてみぃ」 「そうしよう」 少女は無造作にリボンを引っ張り取り外すと、箱の蓋を持ち上げた。 びよよ〜〜んっ! 箱の中から間抜けな顔の人形が飛び出した。 「…………なるほど。バネを使ったおもちゃであったか」 額をさすりながら少女は言った。 飛び出した人形の頭突きを食らったのだ。 「およ……やっぱビックリせんねぇ〜」 いささか拍子抜け、といった様子で火のジン。 少女はかぶりを振った。 「いや、驚いたとも。これは私が頂いても?」 「もちろんやで」 にっこりと火のジンがうなづくと、少女はおもむろに人形の首をぐっとつかんだ。 「ありがとう。これで良い鳥よけが出来そうだ」 「……ってバラして材料にする気かい!?」 「うむ」 少女は窓を指差して言った。 「あそこに取り付けて、鳥が来たら飛ばしてみようと思う。なかなか迫力がありそうだろう?」 表情は変わらぬまでも、どこかうきうきしているようだ。 火のジンは「ま、ええか」と一息つくと、少女の頭をひとなでした。 「ほな、オレそろそろ時間やから行くねぇ〜」 「……ああ、そうか。もうこの街を発つのだったな。気をつけて」 「ありがとーさんw ほな、またねぇ〜」 「ああ、また」 あるかも分らぬ次を約束して、少女と火のジンは別れた。 |